28日に行われた分科会(Endofullerenes and Carbon Nanocapsules)で「13C
NMR Study of Ca@C74:Cage Structure and
Dynamics of a Ca Atom inside the Cage」というタイトルで招待講演を行った。ケージの構造、及び、ケージ内での内包された
Ca のホッピング運動をNMRによって明らかにしたというのが講演の概要である。NMRの結果の解釈についての質問と内包金属
Ca とケージの間の結合についての質問を受けた。
この分科会では全部で18件の講演が行われたが、金属内包フラーレンの研究についての発表が多く、私にとって非常に有益な情報が多く得られた。また、休息時間の話の中で、私達のグループが現在行っているリチウム金属内包フラーレンの実験で行き詰っている点について、アドバイスをもらうこともでき非常にありがたかった。28日に限らず、会期中には多くのフラーレン研究者と情報交換をすることができ、有益であった。
29日以降は主として炭素ナノチューブに関する分科会に主として出席し、講演を聴いた。ナノチューブを利用した応用技術に関する発表がいくつかあり面白かった。全般にSARSの影響の為か中国の方の講演のキャンセルが目立った。
今回の学会参加において、自分達の成果をしっかり発表できたことと、最新の情報を得ることができたことは大きな収穫であった。派遣援助していただいたことに改めてお礼を申しあげます。
被派遣者は研究会において ”Size-selective structural study
of free neutral clusters in the hard x-ray region” という表題で45分間の講演を行った。講演では我々が新しく提唱したサイズ選別EXAFSを用いたクラスターのサイズ選別構造解析についてその原理およびセレンクラスターでの実際の適用例について示した。我々の研究は硬X線を用いたクラスター研究という意味でも独自の研究であるが、それに加えてこれまで困難であった自由クラスターの構造解析を行う一般的な手法となり得る方法を実証したという意味において本研究会においても注目を集め、かつ研究会参加者から高く評価された。
Poster session においてNo155「Endomorphin analogues containing D-Pro2 discriminate
different mu receptor mediated antinocioeption in mice」題名で発表した。これまで、mu 受容体拮抗薬のみが見い出されているが、mu2 受容体拮抗作用のみを引き起こす薬物は見い出されていなかった。私どもの発表は選択的mu2 受容体拮抗薬を見つけ出したことの報告である。この研究成果は mu 受容体を介して引き起こされる薬理作用を分類する事ができる。特に、 morphin の副作用である依存性の作用機序の解析に一役かうことになるであろう。ほ乳類の中枢神経から endomorphins を発見した Prof.Zadina 教授からも「これまでも、存在が推測されていた mu2 受容体ではあるが、その特異的拮抗薬が見つけ出されたことから、mu2 受容体の存在がかなり現実性を帯びてきた」との意見を聞く事ができた。
7月11日、ペルピニヨンからマルセーユを経て、ローマ、ローマからラメチアテルメに到着、友人Prof.Giacinto Bagetta が迎えに出てくれた。すぐに、大学で午後3時30分から講演を開始し「Differential
antagonism of endomorphin-1 and endomorphin-2 spinal antinciception by
naloxonazine, 3-methoxynaltrexone and norbinartorphimine」の講演題名で約1時間講演を行った。講演内容は mu 受容体を介して dynorphin
family の遊離機構についての話である。化学的刺激である formalin test でもこのような現象が起こるかとの質問が出された。これを生化学的に証明するため、共同研究を推進することで同意した。これを機会に、Dr.Giacinto
Gagetta 教授を今後日本に招請する予定であり、南イタリアの Catanzaro 大学との研究交流がより一層盛んに成るであろう。